成功を支配する「法・術・勢」の理論

秦の始皇帝は『韓非子』の理論を元にして、紀元前221年に中国で初めての統一帝国を建国し、非常に短い期間で数多くの偉業を達成しました。この成功を支配した『韓非子』に書かれている「法・術・勢」の理論について考えていきましょう。

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まずは、『韓非子』の「法」の考え方を理解する上で、その理論の基になる荀子の「性悪説」の話から始めましょう。

人の性は悪なりその善なるものは偽なり

拙訳)人の本性は「悪」である。本性が「善」である人は後天的な教育による結果である

この言葉がこの章における最も重要なポイントであり、私のコーチングで皆さんに「成功者の理論」をお伝えする上でも最も重要なことの一つです。

この「荀子」の考え(性悪説)を受け継ぎ、独自に発展させたのが『韓非子』の理論です。その『韓非子』に感銘を受けた始皇帝は、厳しい法律によって国家を運営し、中国を統一するという偉業を成し遂げました。また『三国志』で有名な「蜀」の諸葛公明も、『韓非子』を劉備玄徳の子である劉禅に教材として献上したと言われています。

私はこの「始皇帝」を成功に導いた『韓非子』の「法・術・勢」の理論をコーチングに取り入れ、独自のメソッドを完成させました。成功への方法論を考える前に、基本な知識についておさらいしてみましょう。人間の本性は「悪」であり、その本性が「善」である人は「偽=人為」(人の手によって変えられたもの)である。これは「」が人間形成には非常に重要だという荀子の考え方です。この考えを発展させた荀子の弟子の「韓非子」は「」により「刑罰」を重くして取り締まらなければならないと考えたのです。

これをコーチングに置き換えて考えていくと、「あなたの本性は悪であるから、それを善にするには、礼(教育)を用いるか、法(罰)を用いなければいけない」ということになります。つまり、あなたが成功するために、今しなければならない「タスク」があるとしても、あなたの本性は悪であるため、あなたは面倒くさがってしません。もし現時点で、成功の流れに乗っていないならば「礼」により、あなたが善に変わるチャンスは限りなく少ないといえます。「コーチングの基本」のところにも書きましたが、2000万円の年収が簡単に稼げるのは、2000万円の年収の家に育ち、2000万円稼ぐという「教育」を受けていないと難しい、というのがその理由です。

つまり、あなたの本性は悪ですから、その場その場で気持ちがころころ変わります。 成功を目指すと言っていても、なんの方針もありません。 自分に対して、ある時は厳しく、ある時は甘くします。同じ事をしていても、気分が乗った時は頑張るが、乗らない時は怠けてします。その日の気分でいくらでも変わるので、自分自身本当に成功したいのか、ただ言ってみてるだけなのか、わからなくなってきます。物差しがでたらめなので、やらなければいけないことが全然達成できません。このことについては後日「行動経済学」の理論を用いてもっと詳しく解説していきたいと思います。

韓非子の理論は非常に厳しく、もしあなたが「タスク」をやらないなら、厳しい「罰」を与えないといけないと言っています。ここでの重要な点は、あなたがどんなに頑張っても成功出来ない理由は、あなた自身、あなたの本性が「悪」であるということを認識していないからです。韓非子は君主を説得する方法を『韓非子』の中に書いていますが、コーチングではあなたは、あなた自身を説得して「善」に導いていかなければならないのです。なぜなら、あなたはあなた自身の「王様」なのですから。

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荀子は、「人間は自分の欲望、特に物に対する欲望を追求する存在である。そして物の質や量には限りがある。一方、人間は、単独で自分の必要な物を作り足すことができないので、分業というシステムの中で生活する。つまり集団生活をするように宿命づけられている。従って欲望の充実を巡って、人は他者と対立し、争う存在であり、その争いをそのままにしておいたら、集団は解体してしまう。かくして人の欲望を外部からコントロールする「礼」が必要になる。」といっています。自分は自分自身でコントロールできない、これを荀子は「人の性は悪なり」と言ったのです。

荀子のいう「礼」が「社会的なしきたり」と言う意味の慣習的規範なのに対し、韓非子の言っている「法」は非常に厳しい刑罰を含む成文法であります。ただ欧米でいうところの「法」とは意味合いが異なり、ある意味、治世を行うための「マニュアル」だと考えるとわかりやすいと思います。欧米でいう「法」との大きな違いは、欧米の法の基になっている「自然法(natural law)」はイコール神の意志であり、キリスト教徒にとっては絶対的に正しい「物差し」だという点です。わかりやすくいうと、キリスト教文化ではの基になる善悪の判断は、「聖書に書かれていること(神の意志)」を基準に考えられています。鯨を食べていけないのは、神様が人間に食べていいと言った物が「海に住む魚と陸に住む動物」だからで、「海に住む動物」の鯨やイルカは食べてはいけないと真剣に言う人が出るぐらいです。つまり韓非子の言う「法」は「自然法」ではなく、あくまでも個人の恣意を否定するための物に過ぎないのです。どんなに賢者であっても知者であっても、人間の「恣意」によって法は変えてはいけないというのが、韓非子の理論なのです。

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今までのことをまとめますと、人の欲望は無限であるのに足し、財物は有限であるから、そこに争いが起こります。それを未然に防ぐのは「礼」が必要である、というのが荀子の理論です。それに対し、韓非子は争いが起こるのを未然に防ぐのには、重い刑罰がある「法」が必要だと唱えたのです。人間の「性(本性)」についてと、「礼」や「法」について、これで十分ご理解していただけたと思います。

以上が「性悪説」と「法」の考え方の基本です。これらの理論を基に、成功のための方法論「法・術・勢」の、「術」と「勢」について考えていきたいと思います。

君子だけが知っている「術」の理論

」とは何でしょう?『韓非子』の「説擬」編には「およそ術は君主が握っておくべきものであり、法は官吏が規範とするものである。」とあります。上記で説明した「法」は官僚が扱う物であるのに対し、「術」は君主が扱う物とされています。「術」とは君主だけに許された秘密のテクニックのことです。

「難三」編では「君主にとって重大なこととは、法のことでなければ術のことである。法はこれを文書にして書き著し、役所に備えて、広く民に公布するものである。術はこれを胸中にしまい、これによって多くの事柄を突き合わせ、ひそかに群臣を統御するものである。ゆえに法は明らかであるほど良く、術は表に現れることを良しとしない。よって明主が法について言うときは、国内の卑賤の者であっても聞き知らぬ者はいないのである。ただ堂内に聞こえわたるだけではない。また、術を用いるときは、親愛する者でも近習でも、これを聞き得る者はいないのである。部屋中に聞こえわたることもない。」と言っています。術はどんなに近しい人でも、教えてはいけないし、公然と用いてはいけないのです。

私のコーチング法のなかで、この術に当たるのが「香りにより変性意識状態を作ること」に該当します。香りにより、あなたの中に眠る潜在能力を引き出す方法だからこそ、術といえるのです。

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人を成功に導く「勢(せい)」という考え方

「賢者でも不肖者に屈するのはその権力が弱く、地位が低いからである。不肖者でも賢者を屈服させることができるのは、権力が強く、地位が高いからである。」これは『韓非子』の「難勢」に書かれている言葉です。頭がいいとか、能力があるとか言うことが、成功のための条件ではないと言うことです。「弩(いしゆみ)の力が弱くても矢が高く飛ぶとしたら、風によって勢いづいたからである。君主の身は不肖であっても命令が行われるのは、助けを多くの臣下から得ているからである。」弓の力が弱くても、風が強ければ風の「勢」に乗って矢は遠くへ飛び、君主はバカであっても多くの家臣が助けますから命令をすることが出来るのです。この「勢」に乗ることこそが成功へつながる鍵になります。

『韓非子』には有名な「矛盾」という話があります。「『ある人が矛と盾を売っていた。その盾の堅さを誉めて言う、どんな武器でもこの盾を突き通すことはできません、と。すぐにまたその矛を誉めて言う、この矛の鋭さや、どんな物でも突き通せないものはありません、と。そこで別の人がこれに対して言った、お前の矛でお前の盾を突いたらどうなるのかね、と。その商人は答えることができなかった。』どんな武器でも突き通せない盾と、どんな物でも突き通す矛とを同時に宣伝することは、両方が並び立つことはできないのである。賢能の士は権勢によって抑えても言動を禁ずることができず、権勢はどんな言動をも禁ずることができるものである。禁ずることができない賢能の士と、禁ずることができる権勢とが、両方並び立つということは、矛盾の説と同じである。賢と勢が両立し得ないことは、これで明らかである。」

賢人の力というものは、何をもってしても権力で押さえつけられない性質を持っています。何でも 突き通す「矛」なのです。勢の力というものは、法令に基づいて何者をも刑罰で禁圧する性質を持っています。何ものも突き通せない「盾」なのです。ですから、勢をつくることによって治世を目指すことと、賢人を待って治世を目指すこととは両立しないことは明白です。

同じように、賢い人や能力のある人が成功した方法で成功を目指すことと、「コーチングの基本」で述べた、通常の人が「職人のように修行する方法」で成功を目指すことは、両立しないのです。ですから成功者の真似をしろというコーチング方法では、なかなか成功した人が出ないのはそういう理由です。つまり「礼」や「法」で自分を善に導くには膨大な時間がかかりますし、賢い人や能力のある人と同じやり方をしても上手く行かないということになります。そのために「術」を用い潜在能力を引き上げて、成功への流れ「勢」に乗らないといけないのです。

次はいよいよ「術」の部分である「潜在意識が一瞬で目覚める香り」のコーチングについて書いていきます。

<コンテンツ>

奇跡を生む変性意識状態のカラクリ
身体を支配する心の理論
変性意識状態への導入方法
変性意識状態へ導く音楽
史上最大の成功者を導いた理論
潜在意識が一瞬で目覚める香り

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