変性意識状態へ導く音楽

もし音楽を聴いただけで変性状態に陥ることができるのなら、それは夢のようなことです。でも実際には、暗示をかけてから音楽を聞かせたり、悲しい時に聴いた音楽を忘れないなど、変性状態の時に聴いた音楽が、後にその時点の記憶を呼び出すことがあっても、特定の音楽を聴いただけで変性意識状態を作ることはかなり難しいように思われました。

「アナハタ」と「アハタ」

インドには 「Nāda yoga(ナーダ・ヨーガ)」 と呼ばれる音のヨーガがあります。ナーダ・ヨーガの音楽は、内部音楽の「anahata(アナハタ)」と外部音楽の「ahata(アハタ)」に分類されます。「アハタ」は音楽のような外から耳を通して伝わってくる外からの音です。それに対し「アナハタ」は自分の内部にある音だといわれています。この内部の音である「アナハタ」は呼吸法によって聞くことが出来るようになり、それがチャクラに届くと超感覚的な体験(強い変性意識状態)を経験すると言います。またインド音楽やヨーガの関係者の間ではではよく、4096Hzの音を「Angelgate(天界の扉を開く音)」と呼んで「最高の浄化音」だという人もいます。一説には深い瞑想時(変性意識状態)の時に聞こえてくる音が4096Hzの音に近いという証言もあります。しかしながら、実際MRIで数名の方の脳を計測したところ、脳には他の音とそれほど違う変化は見られませんでした。これは変化が起こるまでは長い時間を有するのかもしれません。

インドの伝統的楽器である「シタール(sitar)」はナーダ・ヨーガにも良く使われ、1960年代半ばからは、ジミー・ペイジや、ビートルズのジョージ・ハリスン、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズらが使用したため、欧米でも人気を博し、いまでもシタールを聞いているだけで変性意識状態に陥ったという話を耳にすることもあります。

音楽による変性意識状態の導入についての研究は実際、嗅覚や視覚によるものほど明確な効果が現れず、困難を極めましたが、そのヒントをある研究の中に見つけました。その研究を基に最先端の脳MRIを使い、脳を活性化する音を特定することに成功しました。

私の曾祖母の兄は元宮内庁病院院長(侍医長)で、日本大学の医学部創設に尽力した『塚原伊勢松』です。産婦人科医であった伊勢松は、同時に香淳皇太后陛下の主治医であり、多くの皇族の出産に携わってきました。東京大空襲のさなか、昭和天皇の第一皇女であらせらる東久邇宮盛厚王妃殿下のご出産に際し、残念なことに伊勢松の家族は空襲で全滅、病院も焼けてしまいました。この後一人残った伊勢松は1963年に逝去するまで、皇居内の官舎に住んでいたそうです。晩年は皇居の中で研究に没頭したそうですが、その研究を残す家族もなく、残念に思った伊勢松は、私の父にその研究を託したました。多くの研究が「漢文」を元に書かれていたため、読める人間がいなかったのその理由です(父は文学博士を持っていたので漢文が読めました)。

その後、その研究は私が受け継ぎ、聖路加病院の医長であった大叔父や、多くの大学の先生方のお力をお借りして、どうにかその大部分の解明に成功しました。

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伊勢松の残した研究を解明していくうちに、一つの大きなコトがわかってきました。現在、脳科学者や心理学者が唱えている最先端の理論や、催眠術、NLPなどの人の心を操るテクニックは、もうすでに数千年前に見つけられ、何度も何度も表現を変えて発表されています。それが時間とともに儀礼化され、本来の意図が忘れさられ消えていくことが多いのです。どの時代でも物事の本質は変わらず、人間の考えることはそんなに変わらないと言うことです。ただ科学のお発達により、MRIなどを使って、今までは迷信やまじないの類いに思われてきたことが、科学的に証明できるようになってきました。これらの研究はアロマセラピーと東洋医学の融合の方に随時書いていくつもりです。

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「オト」と「コト」

神道には音を表す言葉に『オト』と『コト』というものがあります。オトは「音」に通じ、コトは「言」に通じます。同じ「」を表す言葉であっても、『オト』にはそれ自身に意味がなく、『コト』はその音自体に意味をもちます。『オト』は単なる音に過ぎませんが、『コト』には「言霊」のようにその音自身が意味をもつなのです。つまり、「言葉」も「鐘の音」も音には変わりが無いのですが、言葉はその音自身に意味を持ち、「りんご」と言う言葉を聞けば「りんご」と言う物が思い浮かびます。それに対して「鐘の音」はその音自身には意味を持ちません。

音楽は「オト」を楽しむものであり、その自身には意味を持ちません。ですから「言葉」による催眠は可能でも、音楽が聴覚に働きかけて変性意識状態を形成させることは困難であります。聴覚は動物にとって非常に重要な感覚ですから、変性意識状態の形成に深い関係があるのですが、虎やオオカミの鳴き声のように、それを聞いて危険を感じる物以外は「脳」は無頓着です。この場合、虎の鳴き声も『コト』と考えても良いでしょう。人間の言葉も意味を持つ『コト』でありますから、聴覚を使って暗示をかけたり、変性意識状態を導くことも可能になります。もし『オト』の中に『コト』と同じ効果があるものがあれば、その音を聞くだけで変性意識状態を作ることができると思います。

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私は音楽による「サブリミナル効果」について研究し、ついに効果のある「オト」を発見しました。コトと同じ効果を持つオトは「琴」の音です。まさに「琴」という楽器の語源は『コト(意味を持つ音)』から来ていたのです。ここでいう「琴」とは、現在の琴ではなく、『古琴(七弦琴)』のことを指し、現在の日本で言う「琴」は元々は『箏』という楽器です。古琴は中国では非常に特別な楽器として認識されています。古琴は唯一、中国皇帝が自ら弾く楽器であり、文人が嗜むべき「琴棋書画」の中にも含まれます。歴史的にも、孔子、諸葛孔明、陶淵明、白居易など、多くの文人によって演奏されました。日本でも、嵯峨天皇や菅原道真、荻生徂徠や浦上玉堂など、平安時代の貴族や江戸時代の儒者や文人などに愛されました。

中国にはあまり古い楽器がありません。中国の思想では楽器の寿命は、人間と同じの60年ぐらいに定められているため、バイオリンのように何百年前の楽器がないのです。しかしながら唯一「古琴」だけは千年の歴史を持つものが存在します。それだけ「古琴」は特別なのです。残念なことに現在中国では、本物の古琴を作れる人がほとんどいません。映画の中でも古琴が使われるシーンがあるのですが、多くは古琴自体がよいものではなく、弦も「鉄弦」を使用していたりするので、本来の古琴の持つオトを聞くことはかなり難しい現状です。

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私も古琴を2牀持っていますが、一つは200年ほど前のもので、一つは現代の作家「曽成偉」氏の『玄妙』という古琴です。曽成偉氏の古琴はその音色が素晴らしく、手に入れるのが非常に困難な銘品中の銘品です。中国の成功者や大富豪がこぞって「古琴」になん千万円もかけるのは、骨董的価値だけではなく、その音が持つ不思議な力によるせいなのかもしれません。ちなみに2011年には、北宋皇帝の徽宗が作らせ、清の乾隆帝の銘がある「松石間意」という古琴がオークションに出され1億3664万元(当時17億円)で落札されました。最も高価な楽器といわれる「ストラディバリウス」ですら過去最高落札価格は1589万4000ドル(当時13億円)ですから、「松石間意」は歴史上、最も高額で取り引きされた楽器といわれています。

私が最もお薦めする古琴の曲は李祥霆先生が弾かれる 「陽關三疊」 です。CD等の購入は難しいと思いますがYoutubeなどで探せば聞くことができると思います。

音楽による「変性意識状態」への導入はまだまだ研究段階で、事実上、視覚や嗅覚ほど強い効果がまだ出ていません。しかしながら、反復聞くことにより変性意識状態を再現することは可能です。ですから実践では補助的な役割になりますが、香りのコーチングと併用することにより、さらに大きな効果が期待されます。古琴やシタールの音色があなたの潜在意識に働きかけ、あなたを成功に導くかもしれません。

<コンテンツ>
奇跡を生む変性意識状態のカラクリ
身体を支配する心の理論
変性意識状態への導入方法
変性意識状態へ導く音楽
史上最大の成功者を導いた理論
潜在意識が一瞬で目覚める香り

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